3月 2020

ソーシャルディスタンスを保ちながら価値を最大化する方法

作成者 Lloyd Barrett

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ソーシャルディスタンスを保ちながら価値を最大化する方法

3月 2020 作成者 Lloyd Barrett

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物理的な距離が近ければ近いほど、コラボレーションの度合いは高くなります。では、社会的に孤立した状態で交渉を計画・実行するという新しい世界に、どう適応していけばいいのでしょうか?

テクノロジーの使用は、長い間、世界中の日常的なコミュニケーションの一部となっていましたが、今では追加オプションではなく必須となっています。会議はバーチャル会議に、会話はメールに取って代わりました。この新しい状況のために人間関係が変わり、交渉相手だけでなく社内の同僚との関係も変わりました。

忘れてはならないのは、交渉の90%は計画が占めるという事で、それを1人で行うことはほとんどないということです。交渉の大きな落とし穴は、戦略に着手する前に社内で十分な調整ができていないことです。効果的なチームに関する研究では、コラボレーションの最大の推進源は距離感の近さであることが示唆されています。

物理的な距離が近ければ近いほど、コラボレーションの度合いは高くなります。では、社会的に孤立した状態で交渉を計画・実行するという新しい世界に、どう適応していけばいいのでしょうか?

交渉のカタチは変わったのです。対面交渉の心理、戦術、戦略はよく研究され、実践されていますが、バーチャル交渉で生じる疑問に対する答えはまだはっきりしておらず、矛盾していることも多いのです。メール交渉に関する研究では、第1に心理的な「親密さ」、第2にメディアや情報の豊富さという理論が主流です。以下の2つの理論は、取り上げられるべき2つの主要な問題を提示しています。

1. 情報の欠如(または情報の豊富さ)

2. 社会的手掛かりの欠如(どのように振る舞うべきかに対して曖昧さを生む)。

「最も豊か」なメディアが、フィードバックが即座に得られ、社会的手掛かりが明確で、ボディランゲージが読み取れ、声のトーンが判断できる対面式の会議に分類されるとすると、テキストメッセージやメールは「豊かさ」の尺度では最も低くなります。

交渉を対人で直接行うことで、高いレベルでの状況認識が可能となり、両者の間に心理的な「親近感」が生まれます。これにより、テーブルの向こう側にいる 人物 が実際には社会的ニーズのある人であることを内的に認識し、交渉者はそれを認識して適切な判断を下すことができる立場になります。

バーチャル交渉では、この心理的な「親近感」がなくなり、交渉相手を単なるモノ扱いにしてしまいかねません。多くの社会的手掛かりが遮断され、交渉相手と有意義な関係を築くことが非常に困難になります。研究の結果、バーチャル交渉の場合、社会的手掛かりがないため、より攻撃的な行動を取ることが多い事実が見て取れます。

電子媒体経由で伝えられた曖昧な情報はネガティブに解釈される可能性が高いため、ネガティブな反応や対立を引き起こす可能性が高くなります。

メールの性質上、書き手は長い返信を書くことができ、おそらく書き直したり読み直したりして、その返信内容に執着することになります。これは、自分の立場に過剰にコミットすることになり、譲歩取引に同意することが難しくなります。迅速に交渉の押し引きを行うこともできないので、この行動傾向が更に強められてしまいます。

しかし、バーチャル交渉にもメリットはあります。社会的手掛かり、時間的制約、権力の認識がないため、交渉者からプレッシャーを取り除くことができます。その結果、交渉者は自由にアイデアを検討したり、戦略を調整したり、社内でより多くの情報を収集することができ、次の交渉へのインプットをより慎重に行うことができるようになります。

社会的効果は別として、メールやテキストメッセージを使った交渉は、より高いレベルの思考を促し、取引の詳細に縛られる懸念を軽減します。しかし、結果的にプロセスが大幅に遅くなり、対話の始まりと終わりが明確でない複数の「オープンな交渉」を同時にこなさなければいけない状態になりがちです。

チーム内で一歩離れたところで自由にアイデアを探求できると、リモートプランニングの課題に対処できる限り、価値を見つけるためのより創造的な方法が得られることが多いのです。

電子コミュニケーションの活用も、熟練した交渉者が持つべきツールの一つです。受信トレイから一旦離れて、対面のビデオ通話に切り替える、またその逆についての適切なタイミングを知ることは、望ましい結果を得るために非常に効果的な方法です。

交渉の際には、この媒体を意識的に使いこなすことが重要です。人間関係の構築が必要で対面交渉がどうしてもできない場合は、ビデオ会議を取り込むようにします。より戦略的で創造的な解決策を見出す必要がある場合は、更に考えを深めるために、社内で協力し合う場を設ける方法を検討しましょう。ほとんど相手との関係性がない困難な交渉であれば、コストを節約して、最後までメールや電話を使用した交渉をしても構わないでしょう。

現在の危機的状況と新しい働き方に適応するために、世界は常に変化しています。時間をかけて計画を立て、状況に適したものとそうでないものを意識的に見極めることが、価値を最大化するための鍵となります。

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Lloyd Barrett